40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

日本文化の核心

日本文化の正体は必ずや「変化するもの」にあります。神や仏にあるわけでも、和歌や国学にあるわけでもありません。それはたいてい「おもかげ」や「うつろい」を通してやってくる。これがジャパン・スタイルです。

日本人には「漂泊」「落魄」「無常」「辺境」「巡礼」「道行」の感覚がかなり重なっているのだろうと思えます。
これは「うつろい」を肯定しているのです。四季の移り変わりに感情を寄せられるように、歴史や人生や出来事にも「うつろい」を認めているのです。

 

スサビも数寄も物事に執着することです。こだわることです。こだわることは学習や修養のスタートでもありますが、こだわりすぎることは何かの発展を妨げることもある。それゆえ仏教では何かに固執することを「執着」と言って、強く戒めます。仏道の修行の妨げになるからです。
しかし、この執着をあえて「好きなもの」として徹底し、何かに執着する態度に一転して美を見出すことが、日本においては連続したのです。その有名な例をみせてくれたのが西行でした。出家して世を捨て、そのうえで好きなことに徹していくのです。数寄の心に遊ぶことを選ぶ。

 

 

感想

日本文化を16個の色々な切り口・フィルターでもって分析してみる本。古代日本から始まり、中国文化の流入と編集、米がもたらした文化、神仏習合、和魂と荒魂、等々。多読家の松岡正剛さんの膨大な知識から編集された分析を読め、勉強になった。

 

特に第五講「和する/荒ぶる」と、第六講「漂泊と辺境」は参考になった。日本人の「辺境」「うつろい」に対する親近感。それは僕も強く持っているものであり、それが高じてのアリリタでもある。ならば、普通の人が何となく感じる以上に、深く理解・実践していきたいもんだ。
うつろい。四季、歴史、人生や出来事のうつろい。やっぱり歴史には深く親しんでいきたいし、四季も感じていきたい。

 

「二項同体」という考え方もいいね。対立からの止揚、ってのが西洋哲学。美しい論理ではあるけれど、全てがそう出来るわけでもないし、そうするなかで削ぎ落してしまうものもある。日本は伝統的に、止揚するのではなく、全てを取り込んできた。敵も内に取り込む。そうして物事を解決してきた。だから、内部をよく観察してしまうと、矛盾や非効率・雁字搦めも発見してしまうわけだけど。その欠点ばかりを指摘しても仕方ない。それよりも、そうしたものを抱えつつも・抱えていたからこそここまで発展できた日本の歴史・構造に注目していくべきなんだろうな。削ぎ落さなかったからこそ、今まで保たれたものがある。その中に、解決のヒント・種もある。
人間個人としてもそう。良い経験だけでなく、悪い経験も蓄積してきた。清濁併せ持ってきた。負の面を抱えているからこそ、それを糧にしてより高くへ飛翔できる。
日本人のこの伝統的感性を大切にし、大いに活用しながら、日々を生きていきたい。