40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

もののふ戦記

感想

勢古さんの本「それでも読書はやめられない」で、時代小説部門でお勧めされていた一冊。

帚木さんの、庶民を描く時代小説は面白かった。本書はそれと同じく、合戦における小者の生き様を描く。戦国時代を描くとして、中心は戦国大名になるのが普通。でもその下には、侍大将がおり、その下で仕える直臣の家臣がおり、そこに仕える家来がおり。本書は、一般武士の佐兵衛に仕える小者の半助を主人公とする。

 

本書では大殿として描かれた侍大将ですら、歴史書やゲームではその他大勢扱いだけど。本当はその下にいる人たちが色々な労務をこなし、命を懸けて戦っているからこそ、上の争いが成り立っている。戦の備えとして糧食を作ったり薬を作ったり、陣所を作ったり。そういう無数の人たちがいたから出来た事。当たり前のことだけど、そこにちゃんと目を引かせてくれた。

 

負け戦からの撤退。落ち武者狩りと、それから逃れる主従。結局、殿を受け持った侍大将以下の登場人物は、半助が使えた佐兵衛以外、みんな死んでしまった。物語だからこその結末とはいえ、こういうのが至るところで発生していたのが、戦国時代なんだろうなあ。まあ、そういう生き死にはいつの時代でもあったことであり、今も現在進行形で発生しているんだけど。身に詰まされるというか、何というか。

 

僕もその時代に生きていれば、その辺の農民だっただろう。使い潰される運命。いつも思うことだけど、現代において、こうして自由に生きられているのは本当に奇跡だし、本当に素晴らしい。こうして得られた僥倖、無為に過ごして潰すことなく、ちゃんと利用し、堪能し、生き抜いてやりたいと思う。