心理諜報戦
- 作者: 野田敬生
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2008/02
- メディア: 新書
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政治や軍事の場では、あらゆる駆け引きが行なわれているんだろう。そういったものは複雑すぎて理解することができない。でも、どんなことが起こっているのかちょっと興味があって読んでみた。
やっぱり、専門部隊がいて、かなり昔から研究も行なわれてきているらしい。僕がメディアで受け取っている情報や、世間でも常識も、そういう操作に影響されている部分が多かれ少なかれあるんだろう。しかも、その操作は国際関係や国内政治の分野だけでなく、企業その他団体・個人によっても実行されている。
自分が何を正しいと考え、何を間違いと考えるか。世界を解釈する方法にまでその影響は及ぶ。宗教もその一例だ。ならば全ての前提を疑い排除すればいいのかといえば、そういうわけでもない。疑いを喚起すること自体を目的としている場合もあるのだ。その状態は、ある種の思想・信条を注入するのにはむしろ好都合になるという。疑っても疑わなくても駄目となれば、もうどうしていいのか分からない。自分の世界観が崩れる経験は既に経験済みだ。全く恐ろしい。確固たる自分を持っていると思っていたその前提が操作されたものならば、自分というものがなくなってしまう。
でも、自分の内で経験したものだけを真実として拠り所にして生きるのでは世界の狭い人間になってしまう。体験するまでは、世間の常識としてある程度距離を置きつつも受容し、でもいつでも修正を図れるよう柔軟に構えている。仮定として保留しつつも日々を生きていく。「打たれ強くなるための読書術」でも言及されていたけど、分からない、あるいは完全には分からないという中途半端な状態に耐えることが要求される。単線思考では駄目なのだ。それは読書だけでなく、生き方全てに当てはまるんだなあ。全く、生きるってのは難しいことだ。でもそれを放棄したくはない。絶対に、自分で納得のいく人生を歩んでみせる。