知性の限界−不可測性・不確実性・不可知性−
知性の限界――不可測性・不確実性・不可知性 (講談社現代新書)
- 作者: 高橋昌一郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/04/16
- メディア: 新書
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「ラプラス方程式」と呼ばれる偏微分方程式を解くと、仮に空間の次元数が4であれば、重力が距離の二乗ではなく三乗に反比例することがわかります。このような世界では、たとえば恒星の回りの惑星の軌道は安定しません。ニュートンの引力の逆二乗法則が成立し、安定した惑星軌道があって生命が進化できるような状況は、三次元空間でしか成立しないのです。
自然科学や人文科学や社会科学の専門化された枠組みでは捉えきれない部分にこそ、それらが絡み合った驚異的に興味深く奥深い問題が聳えていることも事実である。私は、その中でも最高峰に位置する「限界」の問題を少しでも明らかにできないものかと試行錯誤を重ねている最中であって、本書もその一つの成果なのである。そこから、読者が、これまで気づかなかったものの見方や、まったく新しい発想を一つでも発見してくだされば、真に幸いに思う。
感想
前著の「理性の限界」が面白かったので、続編である本書を読んでみた。やっぱり面白い!
「言葉が示す内容が、他者との間で本当に同じものなのかは確定できない」ってのは確かにその通りだよな。他者と同じものを見ているかは分からないし、他者と同じことを思っているかは分からない。もちろん、それが現実に影響を及ぼす程度は限りなく小さいのかもしれないけど。でも、自分と他者とは絶対的に分かり合うことは出来ないってことは、常に念頭に置いておかなくてはいけないと思った。お互いがお互いを思いやり、受け入れあうためにも。
「この宇宙が成り立つためには、多くの物理定数がある範囲内に微調整されていなければならない」ってのも面白い。これが偶然には起こりえないって考える人がいるのも分かる。でも、分からないことについては口を閉ざすべき。安易な結論を下す愚は避けなければならない。想像を逞しくして勝手な虚構を作り上げるべきではない。まして、それを他人に強要するべきではない。
限界の部分には色々な主張が渦巻いているんだな。どんなことでも、境界線が一番活発なんだよな。議論にしても、化学反応にしても。まあ、それが当然なんだけど。色々な限界を知ることが出来て楽しかった。
最後に一つ。前にアップした「理性の限界」の書評を著者の高橋さんが読んでくださったらしく、twitterでコメントを貰った。初めての経験だったのですごくびっくりした。書評とも言えないただの感想を述べた文章なんでお恥ずかしい限りなんだけど。でもやっぱり嬉しい。今はただの自己満足のようなブログだけど、もっと考察を深めて、読んでくれるみんなの参考になるようなブログにしていきたいな。