40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

太陽の塔

太陽の塔 (新潮文庫)

太陽の塔 (新潮文庫)

「我々の日常の90%は、頭の中で起こっている」
「高いところに置かれた物体は位置エネルギーを獲得する。それが落下するときには、位置エネルギーが運動エネルギーに変換される。もし精神が位置エネルギーを持つとしたら、落下するときにはエネルギーを放出するはずだ。それを利用できればなあ」


感想
本「鴨川ホルモー」の感想をネット上で漁っていた時、同じ京都を舞台にした本として森見さんの作品が挙がっていた。こちらの評価も高かったので、著者の第一作目である本書を読んでみた。
読みやすさとすれば、「鴨川ホルモー」のほうが上。鴨川ホルモーは現実には無い面白い舞台設定なんだけど、ストーリー展開は分かりやすくてするすると読める。「太陽の塔」は、現実的な話といえばそうなんだろうけど。妄想が爆発していてごちゃごちゃ。そもそもストーリーとか中身とかあったのか?という。物語として楽しむというよりは、その場面場面の突き抜けっぷりを楽しむって感じかな。
両者とも京都を扱っているんだけど、「太陽の塔」のほうが、自分の京都学生時代を思い出してすごく懐かしくなった。4人組が部屋に集まって飲み会をした翌朝の、気だるい、痛々しい感じとか。「ああ、そんなこともあったなあ〜」って。僕の周りにも結構変わり者がいたからなあ。結構毎日を無駄に過ごしてたよなあ。今振り返ればもったいないとも思うが、いい思い出でもある。
この作品が評価されるってのは、みんな懐が深いんだなあ。妄想に共感したとか?「我々の日常の90%は、頭の中で起こっている」ってのは凄いセリフだ。いやまあ、面白かったけどさ。
最後に、「もし精神が位置エネルギーを持つとしたら、落下するときにはエネルギーを放出するはずだ。それを利用できればなあ」って、まんま「まどかマギカ」だなあ、と。同じようなこと考える人がいるんだね。