拝金
- 作者: 堀江貴文,佐藤秀峰
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2010/06/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「そうだ、欲だよ。欲望が金の価値を定める。そしてそれは人によってケース・バイ・ケースなんだ。本来、金はその要望を満たすための手段でしかないんだよ」
この世界で遊ぶということは、単に女を口説くとか、女とヤルのが第一目的じゃない。自分がどこまで上り詰めているのか、純然たる階級世界のなかで確認することにある、と。
狂おしいほど求め続けながら、それでも手に入らないものが欲しかった。とてつもない金でさえ決して満足しない。見たことのない数字がいったい、どうだっていうんだ?金が醸し出す甘美な世界では、決して味わい尽くせないものが、確かに、この世には存在するのだ。
お金がないときはやれることに限界があるけど、お金があればやれることがどんどん広がる。つまり、お金を持てば持つほど、お金から解き放たれて自由に発想できるようになる。もっといえば、あらゆる欲望、金、女、酒、美食、何でもいいけど、徹底的に浸り切り、欲にまみれればまみれるほど、ある瞬間、その欲の世界を突き抜ける、そんな感覚になっていく。
感想
堀江さんの処女作。この後に出版された「君がオヤジになる前に」が面白かったんで、この本も読んでみた。人気だったんで、図書館で借りるのがすごく遅くなってしまった。この本も面白かった。やっぱり、自分とは違う世界についての話は興味深いよな。
堀江さん自身の、ライブドアでの躍進と崩壊を下敷きにした物語。テレビで散々騒がれた話なんで、筋ははっきりしている。だからその部分はどんどん流していって、成り上がっていく時の感覚とか、その時々の感情を味わいながら読んだ。堀江さんも、主人公みたいなこと考えてたのかなあ。
高級ワインとか高級料理とか。食にそれほどこだわっているわけでもないんで、そういったものに憧れは持っていないんだけど。でも、とことんまで味を追求した飲食物は、僕が今までに体験したことのない衝撃をもたらしてくれるんだろうなあ。それがどんなものか、試してみたい気持ちはある。でもやっぱり費用対効果を考えちゃうよなあ。そんなの気にしないで済むほどのお金があればね。
女性や男性のランク付けや遊びについての話も興味深い。そういうのってあるんだろうなあ。ちょっと面白そう。まあ、僕には参加資格はないけどさ。同じ世の中でも、立場によって全然見えている世界が違っている。すごいことだよなあ。それら全てを知れたらいいのに。
僕は大きな欲望は持たないようにして生きてきた。欲望は際限なく、どこまでも果てがない。いくらお金や地位があったとしても、満足感や充実感の得られない人生って、果たして楽しいのだろうか、って。「あるもので満足する」生き方が、最大幸福を実現する道だと思ってきた。今でも、それが正解なんだろうとは思っているんだけど。少なくとも、効率の面からは。
でも、人は未知に憧れるからな。自分とは正反対の生き方ってどんな感じなんだろう?それを体験したいって気持ちもある。金を持ち、欲にまみれ、その先にある世界。それって、どんなものなんだろう。効率なんて度外視して、全力で生きてみたい。その方が、実は満足度の高い人生なんじゃないか?とかね。
人は、一面だけでは語れない。様々な側面を持っている。自分というものを、一つの枠に嵌める必要はない。バランス、だからな。堅実じゃない道ってのも、体験してみたいもんだ。