40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

ワーク・シフト

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

これから起きようとしている変化を突き動かすのは、五つの要因の複雑な相乗効果だ。五つの要因とは、テクノロジーの進化、グローバル化の進展、人口構成の変化と長寿化、社会の変化、そしてエネルギー・環境問題の深刻化である。これらの要因が組み合わさり、働き方の常識の数々が根底から覆る。


未来に押しつぶされない職業生活を築くために、どのような固定観念を問い直すべきなのか。私たちは三つの面で従来の常識を<シフト>させなくてはならないと、私は考えている。
第一に、ゼネラリスト的な技能を尊ぶ常識を問い直すべきだ。「専門技能の連続的習得」を通じて、自分の価値を高めていかなくてはならない。また、個人の差別化がますます難しくなるなかで、セルフマーケティングをおこなって自分を売り込み、自分の技量を証明する材料を確立する必要性も高まる。
第二に、人間同士の結びつき、コラボレーション、人的ネットワークの重要性がきわめて大きくなる。そのような人間関係は、意識的に形づくっていかなくてはならなくなる。
第三に、どういう職業人生が幸せかという常識を問い直すべきだ。


古い仕事観のもとでは、仕事とは単にお金を稼ぐことを意味していたが、未来の世界では次第に、自分のニーズと願望に沿った複雑な経験をすることを意味するようになるのかもしれない。大量消費に代わり、充実した家庭生活や深い友情、やりがいのある刺激的な仕事、創造性と芸術を重んじる人生など、さまざまな要素が新たな優先事項になるかもしれない。



感想
「Chikirinの日記」で紹介されていた本。こういう、未来を予測し備える系の本は結構好き。「未来志向」の資質持ちだしね。それに、この本の感想会twitter上で10/6に開催するということなので。まあ、わざわざ発言はしないだろうけど、みんながどういう風に考えたのかを見ていくのは面白そうだなと。それで、この本を購入して読み込んでみた。


五つの変化の要因それぞれについて、感想・意見を。
まずは要因1.テクノロジーの進化。個人的に楽しみなのが、「バーチャル空間の進展(アバターの利用)、人口知能アシスタントの普及。人工知能相手に、『現実の血の通った関係と同様の喜びや心地よさをもたらす時代がやってくるのかもしれない。』とのこと。本当にそうなったら凄いなあ。僕の嗜好を理解し、それに沿ったコンテンツ収集やアドバイスなんかをしてくれたら最高。それに、初音ミクみたいなものもどんどん進化していくんだろう。そういうのに抵抗無い人間なんで、積極的に楽しんでいけそうだな。
あと、「瞬間通訳テクノロジーの実用化」も楽しみ。確かに、あともうちょっとって感じだもんな。これが実現すれば、海外旅行をより楽しめるようになるだろう。まあ、言語に特有の言い回しや感情の機微を伝えるのは、さらに時間がかかるかもしれないけど。


次に要因2.グローバル化の進展。これは僕にとって、あまりピンと来ない。「愛情と仲間意識と社交性と共感が人間の基本的な性質になっていく」なんて言うけど、理想主義的すぎないか?ネット環境の進化、言葉の壁の除去により、世界がより繋がるようになるってのは分かる。でも、結局はそれぞれの国柄・文化・習慣・宗教の違い・時差は残る。これによって世界が一つになるなんてことは絶対に起こらないだろう。一つになってしまっては、所属欲求が満たせない。日本国内ですら、一つには繋がっていないんだし。似たような嗜好を持つ人間同士が集まりやすくはなるだろうけど、それによって起こるのはさらなる細分化のような気も。
仕事に限ったにしても、どうなることか。単純作業や、人を相手にしない業務では、人材の置換が進むだろう。コンピュータによる自動化も起こる。でも、人を相手にする仕事、人と協調してやる仕事は、安易に置き換えることはできない。どんなに技術が進歩しても、国民性の違いが残る限り、業務も残ると思う。
それでも、「どこで生まれたかではなく、才能とやる気と人脈が経済的運命の決定要因になる。」ってのはその通り。先進国に生まれたからって、そのまま豊かさを享受できるわけではなくなる。今もそうなってきているし、今後はさらに加速していくだろう。そのほうが公平な社会だと思うし、僕にとっても望むところ。


要因3.人口構成の変化と長寿化。これについては「2100年、人口3分の1の日本」でも考えたけど、まあ近々影響を及ぼすようなものではないかな。僕個人に関して言えば、定年退職するのはいつになるのか、くらいの話。社会保障制度も変わっていくだろうし。これについては、今後の変化に合わせて考えていこう。


要因4.社会の変化。「女性の社会進出」はさらに進んでいくだろう。僕の職場にも女性は多い。多様性が生まれるのは良いことだ。違いを許容する文化が生まれることは、僕にとってもありがたい。無意味な同調圧力に従うつもりはないんで。「人は人、自分は自分」っていうのを強く思っているし。まあ、それをまとめていく管理職は大変なんだろうけどね。
「メガ企業とミニ起業家の台頭」について。装置産業が巨大企業化していくのは当然として、それ以外のマーケットでも巨大化していくのかな。人口知能アシスタントが出来るくらいならば、地域・顧客に密着せずとも、個人個人の要望・ニーズなんて手軽に収集できるだろう。機械的に全て把握・管理されるのって、ちょっと抵抗あるけど、利便性には代えられないかなあ。
ミニ起業家の台頭。いくらネット環境が整っても、組織に所属したいというニーズは強いものがあると思うけど。まあ、企業の側がそれを望むんだろうね。柔軟な勤務体系なんて言いつつ、単純に固定費を削減したいだけじゃないの?そうなると、大半の人にとっては生き辛くなるだろうなあ。「主体的に自分の職業生活を形づくり、自分の価値観や願望に沿った働き方を実践するようになる」なんて言うけれど、それを望む人はどれだけいるんだろう。そこまで自分で考え、生活を律していけるのか?今後は、企業に所属していてもそういうことは考えていかないといけないだろうけど。まあ、そうなるならなるで、仕方ない。変化に順応するのは苦手じゃないし、多分大丈夫だろう。それに、長期休暇を取ってリフレッシュ出来るようになるのは悪くない。


要因5.エネルギー・環境問題の深刻化。これについては、あまり心配していない。エネルギー源の枯渇なんて当分先の話。それに、人は困難を前にすれば、なんとか解決策を見出すものだし。まあ、本気で取り組みを加速させるためにも、こうして不安を煽る人が一定数いることは必要だろうけどさ。
でも、移動の制限なんてのが現実になったら嫌だなあ。気軽に旅行が出来なくなっちゃうよ。仮想現実で旅行を楽しめるようになるっていうのなら、全然問題ないんだけど。むしろ、そっちのほうが面白そう。


シフトさせるべき三つの観念についての意見・感想。
第一のシフト。「専門技能の連続的習得」。これはまあ、その通りなんだろうな。一つの技術・技能だけで生きていける時代は終わった。今後は常に学び、磨き続けなくてはいけない。学ぶべきものが分かっているのならば楽なんだけど。それも、自分で模索していくんだろう。勉強は嫌いじゃないんだし。楽しくて、やりがいのある仕事に携わっていけたらいいよな。


第二のシフト。ここはあまり得意ではない部分だなあ。日々接する人との関係を良好に保つのは問題ないけど、初対面のところから関係を築いていくのはちょっと苦手。そして、あまり接することのなくなった人との関係を持続させるのはもっと苦手。テクノロジーの進化で何とかならないのかな。あと大事なのは、キーマンと繋がっておくことだよな。そこさえ確保しておけば、そこが勝手に繋いでくれる。そのためにも、キーマンにとって価値ある存在であることをアピールできないといけない。これは、第一のシフトに関連してくるところだな。
私生活においては、身近にキーマンがいるのでとてもありがたい。切れない縁だし。


第三のシフト。自分の生き方・働き方を問い直す。これに関してはいつも考えていることだし、既に実践していることでもある。流されることなく、主体的に生きていきたい。そのための力を身につけていきたい。
この本を読んでいるのも、その表れだしね。今回この本を読んで、また改めて色々考えることが出来たのは楽しかった。仕事面でどんな影響を受けるようになるのか不安な面はあるけれど、テクノロジーの進化はとても待ち遠しい。10/6の感想会も楽しみだ。